芝大門塾2022
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特集 : 答えのない時代の人材開発を考える出典:持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会 報告書~ 人材版伊藤レポート ~ 令和2年9月 経済産業省出典:DX白書2021 日米比較調査にみるDXの戦略、人材、技術IPA(独立行政法人情報処理推進機構)特集 :5②As is-To beギャップの定量把握人材戦略が、ビジネスモデルや経営戦略と連動しているかを判断するためにも、As is‐To beギャップを定量的に把握することが必要となります。人材アジェンダごとにKPIを用いて、目指すべきの姿(To be)の設定と現在の姿(As is)を把握し、“As is‐To beギャップ”を定量的に把握することが求められます。また、人材戦略の策定段階だけではなく、実行段階においてもAs is‐To beギャップを定量的に把握し、PDCAサイクルを通して人材戦略を継続的に見直していくことも重要になります。③企業文化への定着企業文化は、日々の活動や取り組みを通して醸成されるものです。企業は、企業理念や存在意義(パーパス)、持続的な企業価値の向上につながる企業文化を定義し、企業文化への定着に向けて取り組むことが必要です。企業文化は、人材戦略の実行プロセスを通して結果として醸成されるものであり、人材戦略を策定する段階から企業文化を見据えることが重要です。企業文化の定着化に向けて、経営トップ自らが粘り強く発信していくとともに、企業文化に関しても、適切なKPIを設定し検証することが求められます。デジタル時代の人材育成 ~自社の状況に沿った育成計画の必要性~社員のITリテラシーの向上に関する施策状況を尋ねたアンケート結果によると、日本企業は「社内研修・教育プランを実施している」が22%に対して、米国では54.5%です。日本企業は「実施していない」が53.7%であり、日米で施策の実施状況に大きな差が出ていることがわかります。日本企業では、ITリテラシーを高めることが重要と認識されているものの、自社の現状を十分に把握し適切な研修を実施できていないことがわかります。現状把握とあるべき姿のギャップを埋めるための、社員のリスキル・学びなおしを推進する施策の実施が求められます。ITリテラシー向上施策経営課題と人材戦略上の課題は直結答えのない時代の人材開発を考える~持続的な企業価値の向上と人的資本~伊藤レポートが語る、3つの視点■ 3つの視点(Perspectives)①経営戦略と人材戦略の連動企業を取り巻く環境が急速に変化する中、持続的に企業価値を向上させるためには、経営戦略・ビジネスモデルと表裏一体でその実現を支える人材戦略を策定・実行することが必要不可欠です。企業ごとに経営戦略やビジネスモデルは異なるため、企業は自社の戦略やビジネスモデルに向き合い、自社に適した人材戦略を考える必要があります。一方で、経営戦略の実現に必要な人材ポートフォリオの充足や多様な個人・組織の活性化など、各社に共通する要素や視点も存在します。こうした共通要素や、自社の経営戦略上重要な人材アジェンダについて、具体的な戦略・アクション・KPIを考えることが有効です。

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